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国立大学法人等への運営費交付金についての要望書

文部科学大臣 河村建夫殿
財務大臣     谷垣禎一殿

平成15年11月17日
国立大学農学系学部長
提出者リスト)                               

 これまで我が国における高等教育及び学術研究の進展にご高配を賜り深く感謝申し上げます。
 高等教育及び学術研究の有り様は、我が国ひいては人類を含めた地球の将来を決すると言っても過言ではありません。そのなかで農学に携わる我々は、「食糧の確保」と「環境の保全」という人類の持続的生存を保証する基盤的分野にかかわる教育と研究を推進するとともに、将来の農林水産業とその関連産業を支える技術的基盤の構築を推進してまいりました。このような人類の持続的生存を保証する基盤的分野の研究の推進と、それを担う次世代の人材の育成は今後も継続して行われるべきであり、これには長期的視野からの安定した公的財政支出がきわめて重要な役割を果たしています。農学分野の教育と研究を担う人材の育成は国立大学を中心として推進されてまいりましたが、平成16年4月から、すべての国立大学は法人へと転換されます。法人化後の国立大学は「個性豊かな大学へと変貌し、国際競争力のある教育研究の展開」を行うことが期待されていますが、このような展開を行うためには、従来以上の公的財政支出が必要であり、しかも、新たな教育・研究分野の創出にあたっては、新規の財政措置も機動的に行われる必要があります。

 先行の独立行政法人法とは別の法律として提案された国立大学法人法は、国会での審議にあたり多くの附帯決議がなされました。これは国立大学の教育・研究の特性に十分配慮していただいたものと拝察しております。とりわけ財務の観点からは、「法人化前の公費投入額を十分に確保し、必要な運営費交付金等を措置するよう努めること」、「法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること」との附帯決議がなされています。これは、先行独立行政法人と国立大学法人の果たすべき役割の違いをご理解の上、高等教育及び学術研究への十分な公的財政支出の必要性に配慮していただいたことと推察しております。

 しかし先般、11月12日に開催された国立大学協会総会における国立大学法人運営費交付金に係る議論によりますと、運営費交付金を裁量的経費と位置づけ、先行独立行政法人の場合と同じく、経費総額に対して毎年一定率の削減を行うという方針が政府内部で検討されているとのことです。もしもこの方針が採用されますと、法人化後の国立大学の財政基盤を大きく揺るがしかねず、学術研究はもとより、国の将来を担う人材育成の重要な部分である我が国の高等教育は未曽有の危機に瀕することとなります。このことは、国立大学法人法の趣旨にそぐわないばかりか、上に引用しました附帯決議の趣旨とも整合していないと思われます。法人化後の国立大学への公的財政支出につきまして、国立大学の役割をご理解の上、附帯決議の趣旨に沿って公的財政支出が確保され、高等教育及び学術研究が今後ともいっそう発展できるようご支援をお願い申し上げる次第です。
 

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